あの日、二人で紡いだきみとぼくとの物語。



 夏休み中の話ですけれど、私はアルバイトを肉体系ザ・日雇いから知的っくゲーム屋店員へと変えました。
 ぶっちゃけ最初からゲーム屋の店員になってタクライフ満喫してぇーとかいう欲望があった訳でもなく、ゲーム・CD・本・レンタルが一体化した店において、本という知性溢れる業種に尽きたかったんですが、何故か有無を言わさず別館のゲーム部門に飛ばされました。いや、いいんですけどね。客こねーし。
 そんなこんなで、ゲーム屋店員は非常に楽です。CDと隣り通しなのですが、基本的にCD部門の連中が齷齪働いてる中で余裕ぶっこきながら新作ゲームのチラシとかファミ通とか見てりゃいい訳です。40度を楽勝でぶっちぎる真夏の倉庫内整理に比べたら、マジ極楽。というか、こっちはゲームソフトよりも重たいの持ったことないですよ。鉄騎大戦(7kg)ありますけどね。


 さて、そんな天国職場において唯一の不安が性癖の暴露です。先日、AIR特典マウスパッドでも冷や汗をかきましたが、その後もDOAの特典フィギュアだの、デス種のSDフィギュアだの、ラオウのラ王など(これは貰いました)、危険物を多量に頒布状態なので危ういです。うっかり貰ってしまいそうになるではないですか。


 さて、そんな中で、ですが、少々話をズラしたいと思います。
 私の友人にIくんという人がいます。まあ、ぶっちゃけるも何もガチヲタ連れです。しかも、生粋のガチペドです。月姫で好きなキャラは、と聞かれればレンと答え、Fateならイリヤと迷わず指名し、SHUFFLEではプリムラに鼻息を荒げ、永遠のアセリアでは俺が声高にアセリア激萌えを主張してる中で、いいや違う時代はオルファにこそ向いていると叫ぶような男です。てか、これ書いた奴です。ロリとお嬢に弱い年頃なのです。
 さらに実は身内の中ではかなり薄い方であるのに、見た目は誰よりもヲタくさいということで恐れられてる男であります。大学に入学当初は軽くイメチェンしてきたのですが、爆笑されて元に戻ったという不憫さ。
 さて、そんな彼ですが今は公務員になるために勉強中。そんな堅実な男ですが、仲間内からは「Iの奴、マジメロンブックス入らねぇかなぁ」「いや、ここはソフトハウスだろう。ZERO辺りの広報にでも収まってくれれば俺も安心だ」「いやいや、Iくんならシナリオライターだろう。彼ならとてもステキなゲームを作ってくれるはずだ」なんて言われて、さらに会う度に「(この前お前がいない時に)言い過ぎた。ごめん」と謝られてる男です。まあ、ちと気合入れて紹介しすぎました。けど、断っておきますがこいついい奴で、いい友達なんです。


 さて、話を戻しましょう。ある日のバイト途中で、社員さんが言いました。「今から面接行ってくるわ」まあ、CDの方の担当の人でしたし、いってらっしゃいーなんて軽く手を振って仕事仕事。
 なんて思ってたらえらいことになりました。持って帰ってきた履歴書にあったのは紛れもなくIくんの顔写真。すげぇ、すげぇよ。よりにもよって、ダヨ!
 その日、僕はIくんに電話をかけました。「他人のフリしよーぜ」改めて申し上げますが、僕とIくんは仲いいです。けど、「そいえば、今日のゴミ箱漁ったら、観鈴ちんマウスパッドが大量に捨ててあるで」「マジか!?」と声がでかくなる奴とお友達だとしれることに危惧。「何枚でも持って帰っていいんか!?」正直、特典のネギまステッカー見て「きもっ」と言ってた女の子にそんな目を向けられたくないんですぼく。


 で、割と納得し合ったのはいいんですが、彼とはなかなか克ち合いませんでした。
 ついでに、彼はCDに配置されました。ぼく、ゲームです。なんか傷つきますよ先輩。
 で、なんか色々してる内につい口滑りました。「この前の新人、えっと誰だっけ?」「ああ、Iくんじゃないですかね」「おー、そうそう。つか知り合い?」「こ、高校ん時の同級生なんス」つか、僕のほうからバラしちゃったよ先輩。
 そのことIくんに伝えたら、「このウンコ! もう○○(←同い年の同僚)にお前なんぞ知らんって言っちゃったよ!」「この先走りがァ!」「どっちがッ!」
 という訳で。


僕「久しぶり」
I「久しぶり」
 なにこの茶番。


 そうそう、何が言いたかったかというと、この前、そのIくんがCDのレジに、僕がゲームのレジに立っている時に、テニプリのゲームとホロゥのCD買っていく明らかに高校生くさい少年を見かけたんで、ニヤニヤしながらテニプリを通し、ニヤニヤしながら「おーい、これよろしく」とIくんにホロウCDを手渡したのでした。
 Iくんもニヤニヤしてました。


 ヲタに優しいゲーム屋にようこそ! 購入特典として店員の生暖かい微笑をプレゼント!
 是非、ご来店のほどを!