人間よりも人間らしく

 今日は休みという事で午前はテレビなんか付けちゃって、珍しくアンニュイで優雅な生活を送ってました。いや、いつもは寝てるんで、それよかは行動的なんですが。学校は行ってますよ。主にメールで『お前、最近学校来てるん?』とか送ってくる奴は次会った時、殴ります。
 さて、脇道に逸れましたが、番組の内容をば。ちょい興味深い内容でした。
 コンセプト的にはよくある形。野生の猿が引き起こした地元民への被害。そして、それに対する地元民、役所の対策なんかを纏めたドキュメンタリーだったんですが。
 最初の内は本当に猿たちのあまりの行動に視聴者としての立場だった自分も腹立たしく思えてきました。高速道路をぶらつき、轢くまいとスピードを落とした車には威嚇で返す。農家に入っては張り巡らされた網を破り、乗り越え、収穫期の作物を荒らしていく。丹精込めて作ったとうもろこしが荒らされた時の、農家のお婆さんの姿は見ていて痛々しいものがありました。
 そして、困った農家側は対策として檻を罠として置き、それに捕まった猿たちを駆除するという手段をとりました。
 駆除というのは本当にそのままです。ハンター、ようは猟銃による射殺。そうした手段で人間側のエリアと役所に定められた地区での猿たちの数を減らしていこうと考えたわけです。
 檻にはやはり猿が捕獲されてました。まわりには誰にも近づかせまいと仲間達が威嚇する中、取材陣は檻へと近づいていきます。
 捕まっていたのは親子でした。母親が1匹、小猿が3匹。恐らく、兄弟だと思われる小猿たちは成長がまちまちで、中には本当にまだ生まれてそんなに経っていないだろうと思われるような、本当に小さな小猿も檻の中で震えていました。
 到着したハンター。手には猟銃。そして、彼らが檻に近づいた時、まさにその瞬間の出来事でした。
 母猿が、小さな小猿たちを背にして大の字になって庇っていました。
 身動きの取れない檻の中で手を広げ、彼らを傷付けさせないという意思を、必死でこちらに伝えてきました。
 しかし、それでもハンター達は引き金を引きます。木と灰色の空をバックに響き渡る数発の銃声。軽い気持ちで見始めた筈が、何時の間にか釘付けになっている自分がそこにいました。


 母親が子供を殺すようになった昨今。つい最近も、母親の男が彼女の連れ子を殺す事件がありました。
 そして、今回のドキュメンタリー。はたして、どちらが人間らしいのか。今の人間は本当に彼ら猿から進化した存在なのか。
 昔、悪口で『お前って猿以下だな』というような言葉を聞いた覚えがあります。しかし、本当に何時の間にか、人間は猿以下の存在として落ちぶれていたのかもしれません。