さて、本題に近いところ。



 小説もSSも容量、内容を問わず、人が書くものなのですが、基本的に人が書く以上、その人個人の経験やら知識の範囲内でしか物を書くことなんて出来ません。それは、所謂文章を書く上でのテクニックにも言えることで、結局自分の中にある描写やら文体やら構成やらとりあえずそんなもんを吐き出していくことになります。
 基本的に、そこに何かを加えるためには、情報をインプットしてくるなり、元々持っていたものをヒントに別のモノに作り変えることが必要になってきます。この時、インプットには咀嚼し、自分のものとする必要がありますし、作り変えるためにはそれなりに自分を理解し、考える必要があります。
 また、何か不足を感じたなら、それこそ余計に考える必要が出てきます。何が足りないのか、自分自身が理解した上でその対策を練らなければいけません。これらの行為やまたストーリーそのものを練ることがが私にとっての考えること、に入ります。
 短いスパンで物を書くことは結局元々持っているものの反復でしかないと思うんですよね。その間、何かしらインプットしてるだろ、というのがひでさんの意見だった訳ですが、これに対しては否定はしませんが、肯定もしません。基本的には今までの書き方やらが強く残っていて、その上それ書いた方が楽ってのがあるんで、概ね流しで書いた場合似たような展開、似たような文章で終わってしまいます。また、インプットしたものがよほど強烈なものでしたら、確かにそれが文章やらストーリーやらに色濃く残ることもありますが、それは寧ろ悪影響に近いと思ってます。そのまま流されてるだけですので、自分の持っている良いところも崩れますし、ある程度冷めたら何も残らないままに終わってしまう。なので、それのどの辺がどのように印象を刷り込んだか等、その部分の肝を理解することが私は大切だと思ってます。というか、そうしなければ、インプットしたものを自分の肥やしすることなんてできないっすよ。咀嚼せずとも使えるのってストーリーラインくらいだと思うんで。
 プラスの方向で。その中で得るものは反復練習による技術等の定着です。これに関しては本当に否定しません。ただ、元々自分の中にあるものがより精度が上がることはいいことでありますが、ただそれほどプラスになるとは思ってません。同じストーリーを何度も書く人なんてあんまいません。ストーリー自体が変化する以上、そのストーリーを他者に伝えるにあたって、最も適したものを選んでくる必要があるからです。ある物語において100%の効力を発揮していた表現が、別の物語においては70%しか伝わらない。なんてこともよくあります。ストーリーの構成や、またはシーン的な空気等によって、その表現自体が不適切であることなんて珍しくありません。だからこそ、ストーリー全体を考え、そこにおいて必要な部分やらをそこに最も適した表現で書く、なんて理想論が出てくる訳ですが、それを行う為にはある程度考える必要が出てくる訳です。必要な表現がわかっても、自分にないものかもしれません。だったら、それを探すための時間が必要です。練習なんて必要ないとは言いませんけど、ただ練習してる暇があるなら、本当に書きたい話を書けばいいと思います。ぶっちゃけ頭で考えて書く以上、本当に咀嚼し、理解したなら、練習で上げられる精度なんて殆どないに等しいです。あとでちゃんと推敲するなら尚のこと。この辺はリーマンさんの意見である「あの手この手で書けるようになる」というものに全面賛成ですし、僕自身もそう考えています。
 まあ、ある程度スパンを置くことによって表現技法やら文体やらを咀嚼し、元のものとの違いを理解し、その上で馴染むことができる。そして考えることによって、ストーリーそのものが得たものによって変革し、より100%に近いものを作り上げることに繋がると思ってます。拙いものを否定することもできる。短いスパンで物を書くことは私にとってはこれがない。あるものをただ自分の持ってるものに沿って書いてるだけでは自己肯定以外何も出来ないと思ってます。てか、上手くなりたいって思うことは今までの自分をある程度否定してる行為なんですよね。そこで結局自分の中にあるものを書き続けてるだけなら、やってることは結局自分大好きって訳で、いきなりの矛盾です。
 という訳で、私は例えば「僕はもっと巧くなりたいんです」なんて言ってる人に対して、無責任に「だったら、書け。書けば書くほど巧くなる」なんて言えません。基本的なものを含めた技法、ストーリーライン、そして色々な実体験を咀嚼した上で、本当に面白いと思えるものを、自分の中にある感動や脈動感、登場人物それぞれの気持ちと共に出来る限り他人に伝えられるように様々なものを学び、自分のものにした上で書いて欲しい。そして、そう言ったところに近づくためには本当にちゃんと考えて書く必要があるんじゃないか。理想論でしかありませんが、私は少なくともそう思ってます。
 と、強引に纏めつつタバコ吸ってきます。そろそろ何言ってんのかわかんなくなってきやがったぜ。